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片手間落書きみたいな ~P-1~

現行プロジェクトP-1の
メインシナリオを書く片手間に書いてた
前日譚のようなものを一部

メインシナリオ書かんとこういうことしてたら
相方に怒られそうな気がするけど気にしない

ちなみにとても長いです


本編より一年前
「よっす。おはよーちゃん」
 眼前の席が、音をたてながら一気に引かれた。そして、どかりと座った女子が、屈託のない笑顔でそういった。
「おはよう。……カキザキさん?」
 桑丸旭美は、突然の来客に少々戸惑いながらも、隣のクラスから来た粗暴な女子に驚くクラスメイトよりかは、いくらか冷静な顔で、そう返した。
 柿崎葉月の噂は、いくらか聞いていた。自分と同じく、日開高校に通い始めて半年しかたっていないというのに、すでに新聞部のエースとして活躍しているらしいのである。
「そうそう。ハヅキちゃんだよ」
 にっ、と広角をあげ、どこか、気迫さえ感じる笑顔をする葉月に、旭美は圧倒されそうになった。
「……初めまして」
「あれ? 前に会ったことなかったっけ?」
 旭美と葉月は、何度か互いに顔を見たことはあったが、話をするのはこれが初めてであった。それだけに、葉月の図々しさが、旭美には少々鼻についた。
「そんなことはどうでもいいや。それより、クワマルにちょっと教えてほしーことがあんのよ」
「はあ……。なんでしょう」
 言われて、旭美は読んでいた小説をそっと閉じた。
「単刀直入に言うと、クワマルってさ。色んな人の弱み握ってるでしょ」
「……」
 失礼極まりないことを言う。噂通りの人間ならば、あの手この手で様々な情報を引き出すはずだと警戒していたが、あまりにも不躾な態度に、旭美の警戒心がさらに強まった。
「別に、そんなつもりないけど」
 すぱっ、と旭美が丁寧に会話を切ると、すっ、と葉月が顔を近づけ、声を落としていった。
「まあまあ、そんな恐い顔しないでさ。……教えてほしーってのは、クワマルも知ってる人の事なのよ」
「お断りします」
 しかし、旭美とて、何も他人の弱味を好んで握っているわけではない。秘密も何も、あくまで対話によって相手の話をまじめに聞いているだけなのである。それは、信用問題以前に、外部に漏らすような――
「まだなにも言ってないじゃん。ケチ臭い女だなー」
「はっ……? け、ケチクサ……?」
 旭美は、思わず声をあげそうになった。しかし、このぐらいでは旭美も騒いだりなどはしない。優しく冷静な人間だという自分の評判に誇りを持っていたのである。葉月の口から出た言葉に苛立ちを覚えたのだが、感情的にならず、努めて冷静にいようと――
「じゃあ、こーしよう。アタシがなんか一個、面白い秘密や噂話を聞かせてやるから。代わりに一個だけ教えてよ」
「いやよ」
 思考が追い付くよりも先に、ぽんぽんと言葉を出す葉月に対して、旭美は反撃するように即答した。
「えーっ、と。例えばねえ」
「ちょっと! ……押し売りでもする気? 嫌だっていってるでしょ。なに続けてんのよ」
 あまりにも自分勝手な葉月に、旭美は思わず声を上げた。自分で自分の声に驚きつつ、旭美は、ふう、と一息を突こうとしたのだが、
「だって、好きでしょ? 人の秘密を握ったり、噂話を聞いたりするの」
「は、……はあっ?」
「大丈夫。分かってるって。……あっ。てゆーか、ほら。クワマルが言ってたってお墨付きがあれば、別に嘘でもいいわけよ。だからあ、教えてほしいってのはねえ」
 不敵に微笑みながら、さも仲の良い友人のように馴れ馴れしくする葉月に、
「腹っ立つう! さっきからなんなのよ! もう!」
 旭美はカッとなった。久しく忘れていた感情であった。まるで、心の底を抉り出されるかのような不快感に襲われたのである。
「ははっ。今のがアンタの素の顔かい?」
「……はあ?」
「いいよ、そっちのが。仏みたいな顔してるより、ずっと自然だよ」
「な……っ!」
 怒りで火照った頬が、そのまま恥じらいの色とない交ぜになり、鮮やかに旭美の顔を彩った。
「なによそれえ……。あんたと話してると調子狂うわ」
 力が抜け、すとんと旭美は再び机についた。
「まあ、嘘でもいいってゆーのは、さすがにウソ。アタシだって、これでもジャーナリストの端くれですから。アタシ的には、ちゃんと裏の取れた情報しか欲しくないわけよ。だって、アタシら新聞部が伝えるべきは真実っしょ?」
 このガサツな性格でジャーナリズムを語るか。
 指を鳴らし、そのまま指差してくる葉月に対して、旭美は小さくため息をついた。
「……でも、新聞部の部員にしてはいいこと言うね。ジャーナリズムはいま新聞部を離れ、さもわびしく堕落してるってのに」
「そりゃ、自分が真実から目をそむけて、子どもたちに本当のことが語れるのかっていうと、そうじゃないからね」
「……」
「どしたの、クワマル?」
「いや、……それ、よく宮沢賢治の言葉だって言われてるけど。違うらしいよ」
 旭美は嬉しそうでもあり、悔しそうでもある、複雑な顔色を浮かべて言った。
「あれ? そうなの? まあ、どーでもいいじゃん。いいこと言ってんだから」
「……というか、よくあたしが宮沢賢治好きだって分かった上で返せたよね。今の」
「だって、それ。宮沢賢治の影響すごく受けてる人でしょ?」
 言いながら、葉月が旭美の手元にある小説を指差した。
「そうそう! そうなのよ。それ知ったから――」
 と、旭美は我に返り、体をぴたりと止めた。
 なるほど。新聞部で活躍しているという噂は、伊達ではないらしい。旭美は小難しい顔をしながら苦悶に近い笑みをこぼした。
「上手いね。話し方」
「うん。知ってる」
 びっ、と敬礼しながら、葉月が右目を閉じた。
「それじゃあ、同じ宮沢賢治好きなわけだし。――手伝ってくれるよね?」
「断る」
 それとこれとは話が違う。旭美は即答した。
「えー! なんでー! いーじゃん別にー! ちょっとぐらいー!」
 子供のように駄々をこねる葉月を前に、旭美はつんとした態度を崩さなかった。そうしていると、ほどなくして、葉月が軽くため息をついて席をたった。
「まあいいや。他を当たるよ」
 そう言いながら、葉月はまだ諦めきれていない様子で、
「ちぇっ。アタシら、きっといいコンビになると思ったのになあ」
 と、頭の後ろで腕を組ながら、わざとらしくすねて見せた。
 そんな葉月のことが気の毒になったわけでもないが、
「ねえ、カキザキさん」
 旭美は立ち去ろうとする葉月を呼び止めた。そして、それから数瞬おいてから、続けた。
「人に認められたいって気持ち、わかるよ。だけど、焦って前のめりに進んでも、こけるだけだと思う」
 葉月が立ち止まった。そして、ちらと肩越しにこちらの様子をうかがうと、体の向きも変えて、旭美と対面した。
「誰に認められたいのか、誰によく思われたいのか知らないけど」
「……なに? アタシの噂でも耳に挟んでたの?」
「そういうんじゃないよ。ただ、ちょっと無理してそうに見えたから」
「ふうん……」
 男子が席についているのも気にせず、葉月は他人の机に腰を掛けながら、足を組んだ。葉月の目は、まるで、旭美のことを見据えようとしているかのようであった。
「別に、アタシは功を急いてるわけじゃないよ。ただ、アタシはアタシのしたいようにしてるだけ。まっ、多少、周りが見えなくなることはあるけど?」
「周りはちゃんと見なよ。味方になる人も離れるんじゃ、意味がないよ」
「協調性が必要って? 今んとこ、必要ないかな。これまで困ったこともないし」
「でしょうね。見ればわかるよ」
「……ねえ。やっぱクワマル、さ。アタシの事、けっこー知ってんでしょ」
「今日、初めて話すよ。むしろ、カキザキさんの方が、あたしのことよく知ってそうだけど?」
 少しばかり、旭美に余裕が戻った。と同時に、葉月が眉にしわを寄せた。
「……どっちでもいいや。なんにしても、アタシと組むこと、考えといてよ。アタシはアンタのこと、けっこー気に入ってんだから」
「正しく強く生きるとは」
 立ち去ろうとする葉月の背中に、旭美は優しく言葉を投げかけた。
「銀河系を自らの中に意識してこれに応じて行くこと」
「なにそれ。それも宮沢賢治?」
「そうだよ」
「アタシ、あんまり宮沢賢治のこと詳しくないんだ。悪いけど」
 葉月はそう言い放つと、旭美のいる教室から出て行った。
 
 あたしはあなたの事、やっぱり気に食わないわ。





メインシナリオ書いてて
登場人物の一部の関係性や性格を肉付けする上で
本編書く片手間に、主人公B旭美とサブキャラ葉月の出会いの場面を書いたもの

柿崎葉月
本編シナリオではほとんど登場しないけど
本編メインキャラ以外だと唯一主人公できるキャラとして設定
その上で、本編でも重要人物になる
そのため、今回考案したネーミングルールの内
サブキャラ用のネーミングルールに従って設定しているにもかかわらず
メインキャラ用のネーミングルールにも当てはまるよう計算
本編で活躍が少ないことがもったいないのでスピンオフてきな扱いで今回のを書いた

スピンオフとして今回みたいな、語り部旭美・主人公葉月形式の過去話を書きたくもある
『今は遠き夏の日々』の前身がP-1だということもあってか
なんか二人の関係性が今夏に近しいものがあったり
本編のコンセプトやテーマに囚われずに書いたからか
キャラがもっとのびのびとしてるように見えたりとか
とかく本編とは全く違う作風になってる
ほとんど何も考えずにキャラが動くままに任せてるせいだけどね

あとでキャラビジュアル描いたら合わせて載せる

小説書いたりお絵かきして遊んでるってことで
友人に怒られかねないので(半分冗談
この辺りで
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