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今は遠き夏の日々 ~学校七不思議編 その四~

 音楽室の噂


 六月二十日。

 その日は、雨こそ降ってはいないものの、梅雨の時期ということもあり、体にまとわりつく湿気と熱気が非常に強くあった。そうした中で、朝村香苗は私服で深夜の成上高校にやってきたのだが、目の前にいる制服姿の女子高生二人の背中を眺めていた。

 一人は、この蒸し暑い中でも、ブラウスの上に緑のパーカーを羽織ったままでいる柳瀬夕美である。そして、もう一人は、汗と湿気で下着が透けていることにも気がついていない、一条小夜子であった。

「やった! 開いた! さすがは小夜子さん!」

 施錠された正面玄関の扉を鍵もなしに、持ってきた小道具を使って開けてみせると、一条小夜子は自画自賛しながら小さくこぶしを握って振り返った。

「それじゃ、中に入ろっか」
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今は遠き夏の日々 ~学校七不思議編 その三~

 その三・新聞部

『ほんとかどうか、これ、調べてみようぜ。アタシは気になる』

「ふうむ……。後は、二人がいつ学校に行くか、なんだけどなあ……」

 ボイスレコーダーを再生させた香苗は、さて、どうしたものか、と腕を組んだ。

 香苗がペンケースの中に小型のボイスレコーダーを忍ばせていたのは、もともと柳瀬夕美を狙っていたからに他ならない。

「おうおう、朝村。面白そうなことしてるじゃないか」
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今は遠き夏の日々 ~学校七不思議編 その二~

 その二・一条小夜子と柳瀬夕美


「ところで小夜子」

 突然の来訪者が去った後、夕美は小夜子に声をかけた。

「この写真、どう思う?」

 それは、朝村香苗が見せてきた写真の束から、夕美が引き抜いた一枚であった。

「さっきの心霊写真? ……どうって言われても」

 小夜子は写真を見て、困った顔をした。と言うのも、それは、夕暮れ時の音楽室で、大人の女性がピアノを弾いているという写真で、それ以外に特に変わったところが何もないものであった。女性の体に不自然なところがあるとか、幽霊の顔があるとか、あるいは人の魂が写りこんでいるということもない、何の変哲もない写真なのである。

「どうなんだろう? 普通の写真っぽく見えるけど……」

「それは『ホンモノ』だよ。アタシが思うにはね」
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今は遠き夏の日々 ~学校七不思議編 その一~

 その一・朝村香苗


 ねえ、集団自殺があった中学校の話、聞いた?

 知ってる。自殺の前にこっくりさんやってたらしいよ。

 しかも、自殺っていうか、変な死に方したらしいね。

 それって、商店街に出た不審者と同じ?

 そうそう。商店街の路地裏で生ごみあさってる男とおんなじ。

 商店街っていえば、駅前通りの建設中のデパート。また工事中止だって。

 また? 最近この学校にも変な話あるのに、ここんとこ、こういう話って多いよね。

 ああ、夜の音楽室に出るって噂のことでしょ?

「え? なにそれ。初耳なんだけど」

 肩にかかるほどの栗毛と、少々幼く見える顔立ちの彼女は、興味深そうに眼を輝かせた。まるでおもちゃを見つけた子犬がするかのような眼であるが、低めの身長と人懐こい性格もあって、その場にいた女子たちは本当に子犬を見るような目で彼女を見た。

「あれ? カナが知らないことがあるなんて、めずらしいね」

 そのうちの一人が意地悪そうな顔をしたことに構わず、朝村香苗(あさむらかなえ)はぼろぼろの手帳と、ちいさくなった鉛筆を取り出した。

「それで、どういう話?」

「こないだ三組の何人かが夜の学校で肝試ししたらしくってね。見たんだって、幽霊。しかも、写真まで撮ったらしいよ。撮った本人は『なぜか』風邪で休んでるけど」

 ふうん、と香苗は話を聞きながら、写真を撮ったという男子の名前をメモした。

「でもその写真見たことあるけど、ぜんぜん心霊写真っぽくないんだよねー」

「そういうのって、やっぱり一組のあの人なら分かるのかね」

「柳瀬夕美?」

 と、二三人が、顔を見合わせながら、同時に声を上げた。

「そうそう。あの人、霊感があるって噂じゃない?」

 それは私も聞いたことがある、と香苗は話を聞きながらメモを続けた。

「じゃあ、誰か三組の男子が撮った写真を持っていけばいいんじゃない?」

「やだよ。あの人コワイじゃん。人殺してそうだし。絶対別の星から来た宇宙人だよ」

 笑いながら、実に他愛もない話をする女子の群れの中で、しかし朝村香苗だけは、真剣に話を聞いていた。いや、そもそもこうした話をメモまでしているのは、当然ながら香苗だけであり、それは噂話を熱心に集める必要があったからである。
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赤毛の姫君 ~その七 首都ハイリット

あらすじ

アルフレッドの放った刺客、六賢老のグラフを返り討ちにした重蔵は、女剣士エレナと共にハイリットを目指した。
一方、先にハイリットに到着したリンド姫たちは、思わぬ来客と対峙していた。

※注意
ここから先の原稿を紛失しているので、続きがありません
続きはいつ書くか未定です
[つづきはこちら]
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