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別館
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その二・一条小夜子と柳瀬夕美 「ところで小夜子」 突然の来訪者が去った後、夕美は小夜子に声をかけた。 「この写真、どう思う?」 それは、朝村香苗が見せてきた写真の束から、夕美が引き抜いた一枚であった。 「さっきの心霊写真? ……どうって言われても」 小夜子は写真を見て、困った顔をした。と言うのも、それは、夕暮れ時の音楽室で、大人の女性がピアノを弾いているという写真で、それ以外に特に変わったところが何もないものであった。女性の体に不自然なところがあるとか、幽霊の顔があるとか、あるいは人の魂が写りこんでいるということもない、何の変哲もない写真なのである。 「どうなんだろう? 普通の写真っぽく見えるけど……」 「それは『ホンモノ』だよ。アタシが思うにはね」 と、夕美は言った。自信ありそうに言うでもなく、ただそこにある事実を淡々と言ったのである。とは言われても、やはりどう見ても普通の写真であった。
「さっきお前が言ってたセオリーに当てはめると、さ。まずこれは、意図的に作られた心霊写真じゃあない。パッと見、この写真には別段、不自然なところはないわけだからな。人を脅かすためとか、からかうために作られた心霊写真ってのは、人に気づいてもらうことが肝心なんだから、明らかに普通じゃない状態を見せつける必要があるんだろ? そう言う意味じゃあこれは心霊写真たりえないわけだ」 確かに、夕美の言うことももっともである。 世の中に出回っている心霊写真というものは人為的に細工がされたものが多く、そうしたものはすべて、一目見て心霊写真だと分かるように作られている。人を脅かすことが目的である以上、心霊写真であると気づいてもらわなければ意味がないからである。 で、あるならば、小夜子が手に持っている音楽室の写真は、誰が見ても普通の写真に見えるため、それを心霊写真だとするにはあまりにも分かりづらい。 「ふうむ……。でも、事故でもなさそうよ? 変な光が入ってるとか、オーブが撮れたとかっていう、カメラ側の性能やら性質の問題はなさそうだし。体の一部があったり無かったり、顔っぽく見えるものがあったり、シミュラクラ現象とか、そう言う目の錯覚を起こすようなモノもないし」 「なのに、これは学校中から集められた心霊写真の一枚として、ここに入っていたんだ。心霊写真の束に普通の写真が入っていたっていうこと自体が、不自然じゃあないか?」 「それはそうかもしれないけど……。まさか、それだけでこれが心霊写真だって言ってるんじゃないよね?」 「もちろん、そうじゃないさ」 と、夕美は頬杖を突きながら、そっと写真に写っているモノを指差した。 「そこに写ってるピアノ弾いてる人な。その人、たぶん、もう亡くなってるんだと思う」 夕美はそういうのだが、小夜子にはにわかに信じられない。やはり普通の女性であるし、顔もはっきりと写っているのである。もう一つ言うと、足も写っていた。 「ほんとにー? わたしには普通の写真に見えるけどなあ」 「ほんとかどうか、これ、調べてみようぜ。アタシは気になる」 あら珍しい、と小夜子は口元に手を当てて大げさに驚いて見せた。 「普段こういう話があると、絶対に首突っ込まないのに」 「いやまあ、そうなんだけどさ」 「ふうん。……ところで」 小夜子はふと、机の上に置かれてあるものが気になった。 「夕美ちゃん、筆箱変えた?」 夕美の机の上には、彼女が出した昼食用の焼きそばパン以外に、ジッパーで開けるタイプの、少々大き目の黄色いペンケースがあった。いつもは、少し大人びた革製のペンケースを使っていたため、キャラクターの入ったそれを見て、小夜子は驚いていた。 「いや、これアタシのじゃねえよ。……あれ? 何でこれここにあるんだ?」 「置き忘れてったんじゃないかな? そういえばあの子、何て名前だっけ?」 「カナエだってよ。朝村香苗」 夕美は手に取った香苗のペンケースを、つまらなさそうな目をして見つめた。 放課後になると、小夜子はまず、写真を持って音楽室を訪れた。 「あ、あれ? 牧原、か? お前がここに来るなんて、その、珍しいな」 音楽室の中には、放課後でも何人かの生徒たちと、一人の男性教員がいた。生徒たちは一様に管楽器を持っているのだが、それは吹奏楽部の活動がそろそろ始まるためである。 と、小夜子の存在に気がついた部員たちが、いやそれどころか教員までもが、一様に緊張したような面持ちになった。そうした様子も含め、小夜子は部屋の中を一瞥すると、写真のピアノには黒い布がかけられたままであった。もちろん、写真の女はそこにはいなかった。 「先生。こちらの女性の事についてお伺いしたいのですが、何か御存じないでしょうか?」 小夜子は、夕美が本物だと言う写真を見せた。 「んん? どれ。……ふうむ。……さあ、俺は知らないな」 「昔、音楽の先生をしていた方で、この人に似てる人がいるとか、そう言ったことは?」 「いやあ。少なくとも教員じゃないんじゃないか? ほら、壁にかけてる写真みてみな」 言われて、壁にかかっている時計の、少し高い位置に並べられてある写真を見た。それは全て、全日本吹奏楽コンクールに出場して、ある程度の成績を残した際に撮られたものであり、写っているのは全て男性教員であった。 「あら? 男性教員ばかりのようですが、女性ではなれないのでしょうか?」 「たまたまだろ。まあ、そう言うことだから、少なくともその人は教員じゃないってことだ。……ただ」 ふむ、と教員はもっさりとした髭のある顎に手を当てた。 「そういえばこの人、名前は何だったか忘れたけど、うち成上高出身で、たしかちょっと前にいろんなピアノのコンクールで賞を取っていたような覚えが」 まあ、それだけ情報があれば、調べもつくだろう。 「ありがとうございます。部活でお忙しい中すみませんでした」 「ところで、牧原」 「はい」 呼び止められ、小夜子は教員の顔を見た。すると、普段は部員たちに、鬼のように厳しく接している男が、困り顔でもじもじとしていた。 「その……。あれだ。音楽準備室に、お前、自分のトランペット置きっぱなしだぞ」 「え? ああ。そうでしたね。じゃあ後でまた取りに来ます。それでは、失礼します」 と、小夜子は仰々しく頭を下げて音楽室を出ると、外で待っている夕美と合流した。 「図書室行こ」 「図書室? なんでだよ」 「あそこなら卒業アルバムとか、名簿とか、そういうのが置いてあるでしょ」 「なんか、お前といると、読みもしないし借りもしないのによく図書室に行くことになるな」 ぶつぶつと不満を言う夕美を、小夜子は強引に手を引いて連れて行った。 私が思うに 心霊写真はやっぱりないんだと思う 正直なところ 心霊写真らしい心霊写真は あざとくすら感じる 今回の内容で書いたように イタズラ目的で作ってあるわけだから 心霊写真だって気づいても合う必要があるからね たぶん、心霊写真として投稿されたりするモノは 多かれ少なかれ、人の手が入っているんだろう 画像加工を使っているにしろ、 わざと心霊写真が撮れるように物理的に細工しているにしろ、だ それからそうでないモノは ほとんど事故だろう たまたま、カメラ側のせいで撮れてしまったものや 丸が三つあると人の顔に見えてしまうというシミュラクラ現象 そして、そうした目の錯覚によってそう言う風に見えてしまうもの ただし、例えば ・男性と女性が二人並んで立っている写真があるとする ・一見すると、二人は仲睦まじくあるように見え、確かに二人の人間が存在しているように見える ・ところが写真に写っている男性本人が「撮影したとき隣には誰もいなかった」と証言 こういう、本人にしか分からないようなものはどうだろう 普通、心霊写真と言えば「気持ち悪い」って感想が出るだろうけど この場合は、ぞっとするよね そう言うのは、あるいは本物かもしれない 超常現象の謎解きっていうサイトの心霊写真のコーナーや ASIOSっていうサイトの『心霊写真の解明と再現』では こうした 体の一部が消える・透ける オーブや白い靄が映り込んでいる 等々の心霊写真を、どうしてそう言うものが撮れるのかを説明しつつ それを再現して見せている 非常に参考になるので 興味のある方は是非、一度でも目を通してみると面白いと思う 参考URL 超常現象の謎解き http://www.nazotoki.com/shinrei.html ASIOS http://www.asios.org/reports.html もっとも、最後に出した私の例は 参考URLを開いても無いので あしからず ちなみに、 今回は元の原稿からだいぶ改稿してある 物語の方向性は元の原稿からかけ離れていく形になるから FC2小説サービスの方には元の原稿を載せることにしようかな PR コメントを投稿する
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