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霊感少女の噂
「さて、それじゃあ残りの七不思議を検証しますか」 トイレから出た後、夕美の前に立った小夜子が、懐中電灯を廊下の先に向けながら言った。その様子を見た夕美は、思わずため息を漏らしてしまった。 「お前さあ……」 「なんで牧原さんって、こんな状況なのに元気なんですか?」 続けて夕美は文句を言おうとしたのだが、香苗の言葉に遮られてしまった。 「いやいや。むしろこんな状況だからこそ、検証し甲斐があるんじゃない。それと、私は一条小夜子ですから。間違えないように」 「まあ、検証はともかくとして、だ。まだしばらくここにいる必要はあるだろうな」 言って、夕美はポケットから一枚の紙を、……いや、札を取り出した。 PR こちらでもついでに書いておく
現在、FC2小説にて 『美琴の剣!』を週刊掲載中 こちらは『今は遠き夏の日々』とは違って 旧本棚にもある作品 ちなみに、以前(旧本棚で)公開したものを 一部加筆修正したもの 気になる方はどうぞ http://novel.fc2.com/novel.php?mode=tc&nid=175628 トイレの花子さんの噂
一歩。 たった一歩、廊下に出ると、さすがの小夜子ですら凍りついた。 もはや、空気が違うなどと言う次元の話ではなく、別世界が広がっているのである。 先の見えない筒は、それまでと同じ姿に見えて、しかし全く違っていたのであった。 小夜子は、懐中電灯を廊下の先に向けた。 その光の線は、目の前に壁でもあるかのように、闇に埋もれてしまった。 いや、あるいは、大きな口を開けた得体の知れないモノが、三人を誘っているようにも見える。 その上、どこまでも続いていそうな深い闇そのものが、恨めしそうにこちらを見つめているかのような気配すらしていた。 ごくり、と唾を飲み込むと、小夜子は明かりを来た道に向けた。 三年四組のこっくりさんの噂
美術室から出ると、小夜子たちは来た道を戻って、二つ上の四階を目指した。 「どうせなら先に四階に行けばよかったな。また階段上がるのめんどくせえ」 と、夕美が愚痴をこぼした。 確かに、三階の音楽室から美術室ではなく、三年生の教室がある四階に行っていた方が、苦労しなくてすんだであろう。 そして、そう感じるのは夕美だけではなく、小夜子もそうであった。 校内があまりにも暑いこともあり、はしたなくも、ブラウスをばさばさと仰ぎつつ、蒸れる体を冷やした。 四階に上がると、小夜子は懐中電灯の明かりを右手側の廊下の先に向けた。 成上高校は、一学年につき六クラスあり、目的の教室は懐中電灯の先にある。一組や二組のように、校舎の端にあるわけでもなく、目的の三年四組へはすぐに到着した。 扉を開けて中に入り、教室内を懐中電灯で照らした。 当然ながら人の気配など全くなく、教室は実に静かで、やはりここもただ暗いだけ、人がいないだけ、と言う状態であった。 美術室のお札の噂
幽霊が出そうと言えるほどに古びた廊下や教室や、あるいはかの有名な『花子さん』が出そうと言えるほどのトイレもなく、成上高校の校舎は、どこまで行っても綺麗であった。 それもそのはずである。 この高校は、建てられてまだ十年ほどしか経っていないのである。 それでも、校舎にお札があるとか、開かずの間があるとか、そう言った類の怪談話がまことしやかに囁かれるのは、そうした噂話があまりにも広く蔓延してしまっているからであろう。 誰々がこんな話をしていた。 誰々も同じ話をしている。 じゃあその話は本当なのだ。 外部の人間からすれば全くもって信憑性のない話であろうが、学校という、ある種、閉鎖されている空間においては、信用のできる人間が話していたというだけで信憑性が生まれてくるものである。 たとえそれが、根も葉もない噂であったとしても、である。 もっとも、一条小夜子にとっては、そうした噂の真偽はどうでもよかった。 | カレンダー
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