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成上校七不思議の噂
夜の学校探検のあった、翌週の事である。 「柳瀬さーん。見てください、これ。金曜日の写真、現像できましたよ」 昼休みになって、香苗は昼も食べずに、まっさきに夕美のもとを訪れた。夕美のいる教室に入ると、彼女は昼休みになったというのに机に伏せて眠っていた。 「起きてくださいよう」 「うるさいなあ。何か写ってんのかよ?」 目元をおさえながら、夕美は写真を受け取った。 「それがもう、ばっちり。私、生まれて初めて本物の心霊写真撮っちゃいました」 「なになに? こないだの写真?」 と、小夜子が自分の机から弁当箱を持ってやってきた。 「そうですよ。見てくださいこれ」 PR 夕暮れ音楽室の噂。
「さて、またここに戻ったけど、どうする?」 来た道を引き返し、ようやく階段までやってくると、小夜子は振り返って二人を見た。 「とりあえず、四階から離れよう。あの門は危なすぎる。あたしらじゃ手におえないよ」 と、夕美が言った。小夜子としては、あの門を調べてみたいという気持ちもある。しかし、夕美の顔が今まで見たことがないほどに青ざめているため、今は彼女の言う通りにしておこうと考えていた。 それにしても、まさか本物の幽霊をこの目で見る日がこようとは。と、小夜子は鎧や軍服の男や、首を切った男子生徒、そして、浪人風の剣士のことを思いだした。 浪人。自分のご先祖様。小夜子は幾度となく自分の血を呪ってきたが、この日、初めて一条の人間であることに感謝した。 ともかくとして、三人は一つ下の階に降りた。 赤い開かずの間の噂
鎧ごと真二つに斬り捨てられた腐乱死体は、もう動き出す気配がなかった。 もしかしたら、自分が死んだことに気がついていなかったもしれない。 だから、あの侍に斬られて、もう一度、死に直したのだろうか。 考えたところで、夕美には確かなことが分からない。 彼女にできることと言えば、『あの人たち』を見て、『あの人たち』の言っていることを聞くということだけである。成仏させてやることも、あるいは祓うことも、彼女にはできない。そうした特別な力を持っていないからである。 赤い鎧武者の噂
深夜の校舎の中、二人の女子生徒が、明かりもつけずに抱き合っている。それを見た香苗は、何とも気恥ずかしく感じると同時に、何とも言えない疎外感を感じた。 「ねえ、早くいきましょうよ。またいつあの鎧が追いかけてくるか分からないですし」 と、香苗はたまらず二人をせかした。 「ああ、そうだな。……悪いけど、あたし今ちょっと腰ぬけてて立てないからさ、手え、貸してくんない? あと小夜子。いい加減重いし暑い」 「失礼な! そんなこと言う子にはこうするよ!」 「あ、あはははは! ばかやめろ! あはは! やめろって!」 と、夕美はのしかかっている小夜子に、体をくすぐられた。 「もう! 二人とも! 早くしましょうよ!」 そうして彼女はようやく立ち上がったのだが、しかし、そうなると一体どこに向かえばいいのかが分からない。いや、ともかくは鎧武者から逃げなければならないのだが、部屋と部屋のつながり方が普通ではない以上、闇雲に逃げ回るのも危険であった。 | カレンダー
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