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俺の屍を越えてゆけ 平安滞在記5 ~三代目当主の伝記1~

不真面目で、自分勝手で、先代に対して常に反発していた小夜子。

だからこそ、とでも言うべきか、三代目に就任した彼女の眼光は、
先代、先々代とは違う輝きを持っていた。


なにより、彼女の政治的手腕は誰よりも優れていたのである
小夜子は当主に就任して以来、三つの財の管理を徹底した。

第一に人材である。

「まずもってして、人が足りていない」
「いかに源太様とお輪様が、たったの二人で朱点童子を追い詰めたとはいえ」
「それは長年の訓練や実践経験があってのこと」
「そもそも、二年足らずで死んでしまう我々に、同じ戦い方ができるはずもないだろう?」
「ゆえに、先代たちが人手を増やさなかったことは、愚行に等しいと言える」

と、小夜子はイツ花に言ってのけた。

実際、当家における主な金策と言えば、
妖怪討伐時の戦利品を売却するか、
数か月に一度ある、朱点童子討伐部隊を選出する選考試合の賞金ぐらいなのだが、
双方ともに、やはりそれなりの人数が必要なのである。
現状、当家には長らく二人しか戦えるものがいない状態が続いており、
どちらにおいても功は芳しくなかった。

ゆえに、小夜子はそこを変えた。

姪の八千代に三人、
自らも二人の子を、交神の儀によって成し、
人員を大幅に増やした。


とはいえ、やはり人手を増やせば、同時にそれだけ資金が必要になってくる。
軍備を整えるにしても、食費にしてもそうである。



そこで、小夜子は第二に、資金の管理を徹底した。

生活費を含めた出費までを必要最低限に抑えつつ、
戦力強化と戦術の幅を広げるために武具道具を揃える。
軍備を整えるために必要なことを計算した小夜子は、いつのまにか、
「あたしの代で無理だとしても、後の代が躓かないよう基礎を作る」
と、薙刀よりも筆を持つ時間の方が増えていた。




だが、彼女が何よりも気を使っていたのは、三つ目の財
『時間』であった。

「短命の呪いを受けている我々の寿命」
「およそ一年と半年というこの『時間』それそのものの管理の甘さ」
「それが、先代たちの犯した最大の失敗だよ」

oreshika_0026.jpeg


たったの一年足らずで当家を大きく変えた小夜子であるが、
しかし、彼女を最も悩ませたのは、そうした改革における試行錯誤の連続ではなかった。





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